臨済宗とは?


 

臨済宗は仏教、禅宗の一派です。

 

宗祖は中国、唐の禅僧、臨済義玄(りんざいぎげん)。

 

いまからおよそ800年前(鎌倉時代)、中国、宋に渡り学んだ栄西(ようさい)によって、日本に伝えられました。

 

臨済宗は「公案(こうあん)」と呼ばれる課題を、坐禅や作務(労働作業)をしながらも常に熟考し、師との激しい禅問答を繰り返しながら、悟り見性(けんしょう)を目指します。

 

臨済宗は「看話禅(かんなぜん)」「公案禅」と呼ばれています。

 

僧侶は修行によりつちかった「気づき」を、信徒へ示し、仏道へ導きます。

 

 

※関連記事>>『仏教とは?

 

 

👉ポイント

『禅宗』は坐禅を根本とする宗派の総称で、実際に『禅宗』という名前の宗派は存在しません。日本では『臨済宗』『黄檗宗』『曹洞宗』の三派が『禅宗』とカテゴライズされています。一般的には『禅宗』という名前の方が通りが良く、分かりやすいため、『禅宗』を冠して名乗る寺院も多く存在します。

 

 

 

中国禅宗の歴史

 

中国禅宗の始祖は「菩提達磨(ぼだいだるま)」です。日本では赤い置物、縁起物のダルマさんとして有名です。

 

達磨は、520年頃にインドから中国へ入り、中国禅宗の第一祖になりました。

 

菩提達磨から、第二祖である慧可大祖(えかだいそ)へと法が継がれました。

 

その後、第三祖の僧璨鑑智(そうさんかんち)、第四祖の道信大医(どうしんだいい)、第五祖の弘忍大満(ぐにんだいまん)、第六祖である慧能大鑑(えのうだいかん)へと、師から弟子へ、禅宗の法は受け継がれていきます。

 

中国禅宗系譜・臨済義玄まで
中国禅宗系譜・臨済義玄まで

 

その後、南嶽懐譲(なんがくえじょう)、馬祖道一(ばそどういつ)、百丈懐海(ひゃくじょうえかい)、黄檗希運(おうばくきうん)と法は継がれ、臨済宗の宗祖である「臨済義玄」へと受け継がれました。

 

 

👉ポイント

菩提達磨がインドから中国へ渡った理由は明らかになっていません。

 

 

看話禅とは?

 

臨済禅は「悟り体験」を重んじ、本来の自己に気づくことを坐禅の究極目的としています。

 

そのため「話頭(わとう)」を手本として、修行者を悟りへと導きます。

 

※話頭=古則(こそく)=古人の悟り体験記録

 

話頭を看(み)る、

 

すなわち「臨済録(りんざいろく)」や「碧巌録(へきがんろく)」などの古則にしるされた、古人の言行から、独自の悟りを見いだすのが、看話禅です。

 

 

👉ポイント

ここでいう古人とは、過去の優れた禅僧たちのことです。

中国、唐の時代の馬祖道一、百丈懐海、黄檗希運、臨済義玄など。

 

 

公案とは?

 

悟りへ至るための問題。お題。

 

修行時は、師家(禅の指導者=老師)から与えられます。

 

公案」は、「公府の案牘 (あんとく)」という言葉が略されたものです。

 

公府の案牘(役所の公文書)に等しい絶対的なモノであるから、「公案」と呼ばれ、臨済禅は公案禅とも呼ばています。

 

古人の悟り体験を示したもの(古則)や、白隠慧鶴(はくいんえかく)によって創られた独自の公案などがあります。

 

 

おもな古則 

臨済録(1120年成立)

中国臨済宗の祖・臨済義玄の言行録。

 

碧巌録(1125年成立)

圜悟克勤が評釈を加え編纂。臨済宗の教本として刊行されました。

 

しかし、弟子である大慧宗杲(だいえそうこう)によって、碧巌録は焼き捨てられます。

大慧は、「古則は甘受するものではない、大疑のもとに大悟あり」と主張しました。

それが常識にとらわれない、公案禅につながります。

 

幸い残存した碧巌録は宗門第一の公案集となりました。

 

無門関(1228年成立)

無門慧開が評釈を加え編纂。

中国に渡って無門に師事した無本覚心によって日本に伝えられました。

 

 

白隠の公案

江戸時代中期の禅僧、白隠慧鶴は古則公案だけでなく、独自の公案を創り出し、段階を踏んで教育していく方法を確立しました。

 

白隠が創った公案では、「隻手音声(せきしゅおんじょう)」がよく知られています。

 

「両手を打ち合わせれば声(パン!と音)がする。では、片手にはどんな音があるか?」

 

と、問うものであります。

 

 

※関連法話>>『公案の話

 

 

👉ポイント

公案はおよそ1700則あるといわれています。

 

 

見性とは?

 

衆生は皆、仏であると気づくこと。

 

「奇なるかな、奇なるかな、一切衆生悉く皆な如来の智慧徳相を具有す。

ただ妄想執着あるがゆえに証得せず」

 

12月8日、菩提樹の下でお釈迦さまが悟りを開かれた後、発せられた言葉です。

 

「なんてことだ、一切衆生は仏性を持っていたんだ。

だが、色々なものにとらわれているから皆それに気づかない」

 

 

古桶の 底抜けはてて 三界に

一円相の 輪もあらばこそ

 

盤珪禅師のこの歌を、体験すること。

 

 

👉ポイント

『盤珪禅師』だけでなく、『白隠禅師』もまた、桶の底が抜けた体験をしています。さらに、鎌倉時代中期の尼師『安達千代野』も、桶の底が抜けた体験をしており、その時に水を汲んでいた井戸は『底脱の井』と称されています。千代野はその時の体験をあれこれと たくみし桶の 底抜けて 水たまらねば 月もやどらじ」と歌っています。

 

 

悟りとは?

 

気づくこと。

      

人間には「知っているはずなのに、気づいていないこと」が、たくさんあります。

 

それに気づかねばなりません。

 

臨済宗中興の祖、白隠慧鶴は「大悟小悟、数を知らず」と言葉を残し、生涯で何度も悟りを開いたそうです。また、大慧宗杲禅師は「大悟十八度、小悟数知らず」といわれました。


悟りは生涯一度ではありません。



👉ポイント

「知っているはずなのに、気づいていないこと」とは?

例えば『指の先に爪がある』。

例えば『道路は平たんではない』など。

 

👉ポイント

もし、あなたが悟りを開こうと志すのなら、疑うという行為が大切になります。禅には「大疑のもとに大悟あり」という言葉があり、何かに疑問を持ち、その疑いを打ち破った(疑問を解いた)先に悟りは開けると伝えられております。

 

幸い仏教には「え?なにこれ?」となる教えが多いので、問題探しは簡単です。疑問を見つけたらじっくり考えてみましょう。

 

 

 

体験の重要性

山田無文老師は「禅は頭ではなく、肚でわからなければならない」と示されました。禅の悟りにおいては、ただ知識を得るのではなく、自らの体で体感し気づくということが、とても重要となります。 

 

 

👉ポイント

また、無文老師は「禅では悟りが開けると、手の舞、足の踏むところを知らずといって、とても愉快になる」とも書かれています。

 

 

仏教の言葉

 

臨済宗を学ぶ上でおすすめの禅語や、仏教語を簡単に紹介させていただきます。

法話のページでもいくつか紹介していますので、良ろしければそちらもご一読ください。

 

※関連記事>>『法話まとめ

 

 

草木国土悉皆成仏

 

草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)

草や木や国土さえ、ことごとく皆、仏である。

 

山川草木悉有仏性(さんせんそうもくしつうぶっしょう)

山や川、草木、ことごとく皆、仏性を持っている

 

 

👉ポイント

『皆』とは何か?『一切衆生』とは何か?

この真意を正確につかまなければなりません。

 

 

諸悪莫作 衆善奉行

 

諸悪莫作  衆善奉行(しょあくまくさ しゅぜんぶぎょう)

 

中国、唐の時代、白楽天という詩人が、道林禅師に質問をしました。

 

白「仏教の要というのは何ですか?」

 

道「諸々の悪を行わず、善を行うこと(諸悪莫作、衆善奉行)

 

白「そんなの3歳の子供でも知っていますよ」

 

道「確かに3歳の子供でも知っている。しかし、80歳の老人でもこの通りに生きるのは難しい」

 

白楽天は自分の至らなさに気づき、道林禅師に深々と礼拝し、その場を去りました。

 

 

👉ポイント

仏教とは本来、分別(ふんべつ)を離れた教えです。

人間の創った倫理感や法律、良識には縛られません。

では、ここでいうところの『善悪』とは、どういう意味でしょうか?

 

 

信は道の元にして功徳の母たり

 

仏教を修める上で最も重要なことは「仏法を信じる」ということです。

 

信は道の元にして功徳の母たり(華厳経)」

 

(仏法を信じることが、仏道にとって最も大切なことであり、功徳の母のようなものである)

 

この言葉は曹洞宗の開祖、道元禅師の法名の由来でもあります

 

 

👉ポイント

信心即菩提。

 

 

喝とは?

 

かつ。言葉では表現し難い悟りの境地を提示する、禅的作用としての激しい叫び。学人を教導する激しい叱咤。一切を喝破する声。(禅林句集)

 

 

臨済四喝

臨済宗の宗祖、臨済義玄は喝を四つの働きに分けました。

 

有る時の一喝は金剛王宝剣(こんごうおうほうけん)の如く

 

有る時の一喝は踞地金毛(こじきんもう)の獅子の如く

 

有る時の一喝は探竿影草(たんかんようぞう)の如く

 

有る時の一喝は一喝の用(ゆう)を作(な)さず

 

 

金剛王宝剣」とは、切れ味の鋭い名刀です。迷い、妄想、この喝はどんなものでもスパッと切ってしまいます。

 

踞地金毛の獅子」とは、大地にしゃがんで今にも飛び掛かかって来ようとしているライオンです。この喝を受けると常人なら竦み上がってしまいます。

 

探竿影草」とは、池の草影に魚がいないか、棒を使って探ることです。この喝によって相手の真偽を探り、その力量を見抜きます。

 

一喝の用を作さず」とは、上記三つの喝のような働きをしない喝です。

 

 

葬儀での喝

お葬式の時に僧侶が死者に引導(引導法語、喝)を授けるのは、黄檗希運(おうばくきうん)が始まりといわれています。

 

黄檗禅師が母の死を弔う際に「一人出家すれば九族天に生ず、もし然らずんば諸佛妄語をなす」と引導法語を唱えられ大喝、炬火(たいまつ)を投ぜられました。

 

黄檗禅師の引導の功徳により、禅師の母はみごと成仏します。

 

この故事により臨済宗では葬儀の時に引導が行われています。

 

 

👉ポイント

葬儀の後によく「『喝っーー!』と言っていたのは何ですか?」と質問されます。

 

和尚様によって説明は違うでしょうが、私は毎回下のように説明させていただいております。

 

「あの『喝っーー!』を聞いてどう感じましたか? ビックリしましたか? 『うるさい!』となりましたか? すっきりしたかもしれませんし、ハッとしたかもしれません。色々な感情が起こったと思います。しかし○○さん(故人)は、もうあの程度ではビクともしない、そんな境地に行ってしまったのです。ビックリもしませんし、うるさいとも思いません。苦しみなんかない安心の世界、仏さまの世界、お浄土です。今は間違いなく静かに心安らかに過ごせています。安心してください。大丈夫です」

 

 

臨済宗の僧侶

 

臨済義玄

りんざいぎげん(?~867)

中国臨済宗の祖。臨済宗宗祖。

 

明庵栄西

みんなんようさい(1141~1215)

日本臨済宗の開祖。建仁寺開山。

 

南浦紹明

なんぽじょうみょう(1235~1309)

円通大応国師。

大徳寺開山、宗峰妙超の師。

太宰府・崇福寺別院・円通大応国師瑞雲塔・前看板
太宰府・崇福寺別院・円通大応国師瑞雲塔・前看板

盤珪永琢

ばんけいようたく(1622~1693)

仏心は不生にして霊明、不生禅を説いた。

 

※関連法話>>『ドケチの話

 

 

白隠慧鶴

はくいんえかく(1686~1769)

臨済宗中興の祖。

一時期衰退していた臨済宗を再興させた。

 

 

大徳寺派の僧侶

 

宗峰妙超

しゅうほうみょうちょう(1282~1338)

大燈国師。大徳寺開山。

 

一休宗純

いっきゅうそうじゅん(1394~1481)

とんちで有名な一休さん。

 

 ※関連法話>>松の話

 

 

沢庵宗彭

たくあんそうほう(1573~1646)

たくあん漬け。不動智神妙録。

 

 

その他の禅僧

 

菩提達磨

ぼだいだるま(生没年不詳 378?~528?)

中国禅宗の始祖。ダルマさん。

 

道元

どうげん(1200~1253)

曹洞宗開祖。

 

 

👉ポイント

禅宗の僧侶はユニークな方が多いので、色々と調べてみると楽しいと思います。

 

 

臨済宗の本尊

 

臨済宗では、御本尊がどの仏さまであるべきか、決められていません。

 

それぞれの縁によって諸仏諸尊を御本尊とします。

 

基本は、仏教の開祖である釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)。

 

他に、観音菩薩(観世音菩薩、観自在菩薩、千手観音、馬頭観音など)、薬師如来、大日如来、地蔵菩薩、不動明王など、さまざまです。

 

 

十三仏

不動明王(ふどうみょうおう)

釈迦如来(しゃかにょらい)

文殊菩薩(もんじゅぼさつ)

普賢菩薩(ふげんぼさつ)

地蔵菩薩(じぞうぼさつ)

弥勒菩薩(みろくぼさつ)

薬師如来(やくしにょらい)

観音菩薩(かんのんぼさつ)

勢至菩薩(せいしぼさつ)

阿弥陀如来(あみだにょらい)

阿閦如来(あしゅくにょらい)

大日如来(だいにちにょらい)

虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)

 

 

👉ポイント

迷ったら御本尊を『釈迦如来』、脇侍は『文殊菩薩』と『普賢菩薩』にしておけば問題ないと思います。

 

 

臨済宗のお経

 

お経とは?

 

お経とは、お釈迦さまの教えが書かれたものです。

 

しかし、お釈迦さま本人が書いたお経は一つもありません。お釈迦さまが亡くなってしばらくの間は、その教えは口伝で伝えられていました。弟子たちが文字に記録しようとなったのは、お釈迦さまが亡くなって数百年経ってからのことになります。それらのお経が、インドから中国に渡って、日本へ。現代の我々にまで伝えられているのです。

 

また、中国や日本でたくさんの僧侶がお経を研究し、解説書など本を書きました。それらもお経と呼ばれています。

 

 

👉ポイント

お釈迦さま本人が書いたお経は一つもありません。

 

 

臨済宗のお経

 

臨済宗では、仏道修行の中で「坐禅」を根本とするため、特定の経典をよりどころにはしていません。

 

仏教諸宗派では、それぞれに根本聖典が定められていますが、臨済宗にはそれがありません。経典は読む側の人間によって、生きた教えとも、迷いの根源ともなるためです。したがって臨済宗ほか禅宗では、「仏法は師から弟子へ、以心伝心で伝えられるもの」とされています。

 

では、禅宗では経典を一切読まないかというと、そうでもなく、他宗以上に経典を読み、祖師の語録も多く残されています。

 

臨済宗では「摩訶般若波羅蜜多心経(まかはんにゃはらみたしんぎょう:般若心経)」や「妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五(みょうほうれんげきょうかんぜおんぼさつふもんぼんだいにじゅうご:観音経)」をはじめ、「大悲円満無礙神呪(だいひえんもんぶかいじんしゅう:大悲)」などの陀羅尼(だらに)のお経や、白隠慧鶴が創った「坐禅和讃(ざぜんわさん)」などの和文のお経もよく読まれています。

 

こだわらず最善(ベスト)を尽くすのが、禅宗の良いところです。

 

 

👉ポイント

『般若心経』『観音経』など、インドで作られたお経を中国語に意訳して漢文で解説したものが『漢訳仏典』。『消災呪』『大悲呪』など、インドのお経をインドでの発音によく似た発音の漢字を当てて、音訳したものが『陀羅尼(だらに)』です。『漢訳仏典』は漢文で書かれているので、漢字の知識があれば、なんとなく意味を読むことが出来ます。『陀羅尼』は呪文として発音そのものに神秘的な力が備わっていると考えられており、わざと翻訳されていないそうです。よって、漢字で読めても、意味は全くわかりません(語句解説書を読めばなんとなくわかります)。

 

 

お経解説(簡易)

 

◆般若心経(はんにゃしんぎょう)

色即是空空即是色。是諸法空相。お釈迦さまの教え『諸法無我』を解説している。

 

観音経(かんのんぎょう)

観世音菩薩さまのすばらしさを説いたお経。

 

大悲(だいひしゅ)

『千手千眼観自在菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経』という経典の中の、陀羅尼(だらに)部分を抜き出したお経。千手観音さまの御利益のあるお経。

 

坐禅和讃(ざぜんわさん)

臨済宗、中興の祖『白隠慧鶴』が創ったお経。衆生は本来仏であると説いている。

 

 

※関連法話>>『お経の話①

 

※関連法話>>『般若心経の話

 

※関連法話>>『色即是空の話

 

 

👉ポイント

お経は意味が解らなくても問題ありません。

「一生懸命」読むということが大事です。

 

 

臨済宗14派

 

現在、日本の臨済宗は14派あります。 

 

 宗派 /  大本山  /  派祖

建仁寺派 建仁寺 明庵栄西

東福寺派 東福寺 円爾弁円

南禅寺派 南禅寺 無関普門

天龍寺派 天龍寺 夢窓疎石

相国寺派 相国寺 夢窓疎石

大徳寺派 大徳寺 宗峰妙超

妙心寺派 妙心寺 関山慧玄

建長寺派 建長寺 蘭渓道隆

円覚寺派 円覚寺 無学祖元

向嶽寺派 向嶽寺 抜隊得勝

方広寺派 方広寺 無文元選

永源寺派 永源寺 寂室元光

国泰寺派 国泰寺 慈雲妙意

佛通寺派 佛通寺 愚中周及

 

 

 👉ポイント

うちのお寺(東光寺)は大徳寺派となります。

 

 

おすすめ仏教本!

 

個人的におすすめな臨済宗・仏教本を紹介します。 


般若心経

禅文化研究所(1986/8/1)

山田無文(著)

難しさ★★★

 

般若心経の解説本は何冊も読みましたが、最も正確な解説をしていると思われるのがこの本です。専門用語や難しい表現なども多いですが、般若心経の勉強をするのなら間違いのない一冊です。

あなたの知らない栄西と臨済宗

洋泉社(2014/4/9)

山折哲雄(監修)

難しさ★★

 

数ある臨済宗解説本の中で最も私好みだった本です。

臨済宗の歴史と教えが、ほどよいバランスで説明されています。

初心者・中級者におすすめの一冊です。

坊主DAYS

新書館(2009/12/17)

杜康潤(著)

難しさ★

 

著者の兄の修行時代を中心に、お寺のことや、お坊さんの事がわかりやすく描かれている、コミック・エッセイ。臨済宗のことを知るには、まずはこの本から入ってみても良いかも知れません。臨済宗初心者におすすめの一冊です。

日めくりブッダのおしえ

サンガ(2016/8/26)

スマナサーラ(著)

しりあがり寿(イラスト)

難しさ★

臨済宗の本ではないですが、仏教の『智慧の教え』を、わかりやすく、読みやすく説いている本です。とても気に入ってしまったため、何冊か買って知人に配ってしまいました。おすすめです。

帰り道で話そうよ

東本願寺出版 (2021/4/1)

花園一実(著)織田顕祐(監修)

木村二三夫(イラスト)

難しさ★

 

こちらは浄土真宗さんが出した本になります。初期仏教の智慧の教えが分かりやすく短編マンガで解説されており、しかも、ちゃんと現代の私たちに対しての教えとして成立させています。これはすごい…と思った一冊です。

  

難解な内容が多い仏教本の世界ですが、初心者でもなるべく読みやすく、簡単で、わかりやすい本を選んだつもりです。『慈悲の教え』だけでなく、『智慧の教え』もしっかりと入っている本の方が、私は好みです。

 

※関連記事>>『法話まとめ

 

 

👉ポイント

当サイトの仏教解説、法話も、難解になりすぎないよう、『難しさ★』を維持できるように心がけています。

 

 

あとがき

 

漆桶底(しっつうてい)を打破す(打破漆桶底)という禅語はかなり重要です。

 

仏道を歩むためには、兎にも角にも「底」を抜かなければなりません。

 

楚石梵琦(そせきぼんき)禅師は「『犬に仏性はない』の公案に取り組んで、漆桶(しっつう)を打破したら、改めて私のところに来なさい。試してやろう」と言いました。

 

白隠禅師、盤珪禅師、千代野の三人とも桶の底を抜いて見性しています。

 

また、密庵咸傑(みったんかんけつ)禅師は師に「お前の現在の心境は?」と聞かれ、「破沙盆(はさぼん)(割れたすり鉢)」と答えました。

 

『桶』ではないですが、ここで言っている『すり鉢』も『桶』と同じものです。

 

この、『桶』とはなにを表しているのでしょう?

 

『桶』とは、『記憶蔵』のことです。

 

『感情』であり、『経験』であり、『心の殻』であり、自分という人格を形成する全てが収められているのが、この『記憶蔵』です。

 

眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識・末那識・阿頼耶識の『阿頼耶識』です。

 

また、この『記憶蔵』は『桶』の姿をしているとも限りません。

 

桶であったり、蔵であったり、すり鉢であったり、暗闇であったり、海であったり、沼であったり、人によって千差万別です。

 

自らの『記憶蔵』を発見し、打破する。

 

これでようやくスタートラインと言えるでしょう。

 

 

また、知識だけでなく、きちんと『体験』することも重要です。

 

山田無文老師が「禅は頭ではなく、肚でわからなければならない」と示されているように、心と体で体験し、自らで真理を掴むというのがとても大切です。

 

「恋と同じ、心と体で体験してみなければ解らない(映画マトリックス)」

 

どれだけ説明を受けて、知識として手に入れても、やはり体験しなければ、肝心なところを理解するのは難しいのです。

 

漆桶底を打破す。

 

記憶蔵の底を抜く。

 

このサイトに書いてある文章が、少しでもあなたの力になれば幸いです。

 

漆桶底を打破できれば、真の自由を手に入れられるでしょう。

 

しかし、どれだけ自由になっても、仏教には『戒律』があることを忘れないように、お願いいたします。

 

 

※五戒

不殺生戒(ふせっしょうかい)

不偸盗戒(ふちゅうとうかい)

不邪婬戒(ふじゃいんかい)

不妄語戒(ふもうごかい)

不飲酒戒(ふおんじゅかい)

 

 


参考文献

あなたの知らない栄西と臨済宗

洋泉社 (2014/4/9)

山折哲雄(監修)

★おすすめ!