第17回 吾道一以貫之


暑い日が続いておりますが、熱中症にはお気を付けください。

 

暑さ寒さで環境が変わると、人間の心というものはつい弱気になってしまい、あっちへふらふら、こっちへふらふらと、思いがけず、道に迷ってしまうものです。

 

そんな時はこの禅語を思い出しましょう。

 

吾道一以貫之(わがどういつをもってこれをつらぬく)

 

もとは孔子の書いた論語の言葉です。

 

孔子が弟子の曽子に「わたしの(説く)道は、一つのもので貫かれているのだ」と教えます。

 

曽子は「はい。わかります」と答えました。

 

孔子が部屋を出て行くと、他の門人たちが曽子にたずねます「どういう意味ですか?」と。

 

「先生が説く道は、忠恕(ちゅうじょ)にほかならないのだ」と曽子は皆に教えました。

※忠恕→まごころを尽くす、思いやる心。誠心誠意。

 

吾道一以貫之(わがどういつをもってこれをつらぬく)。

 

「我が道の一」とは単純に、ただ一つの事だけに打ち込む、という意味ではありません。

 

目の前の一つ一つのこと全てを、誠心誠意、大切に、全力で生きる、それが「一」を貫くということなのです。

 

仕事をするとき

家事をするとき

食事のとき

そうじをするとき

洗濯をするとき

遊ぶとき

休むとき

眠るとき

 

あっちへふらふら、こっちへふらふら、よそ見運転は止めましょう。

 

否、あっちへふらふら、こっちへふらふらも、誠心誠意全力で行えば、正しい道に変わります。

 

「一」をもってこれを貫きましょう。

 

われわれは常に人生という大きな道を進んでいます。

 

しかし、その道は一本の大道だけで成立しているわけではありません。仕事をする、料理する、ごはんを食べる、そうじする、遊ぶ、一つ一つの小さな道が集まって、大きな大きな自分の道になっているのです。

 

それに気づかねばなりません。

 

自分の前に現れる一つ一つの小道、その一つ一つの道を、一(誠心誠意)をもって貫いて、楽しみながら大切に、全力で進んでいきましょう。

 

道を楽しむと書いて「道楽」です。

 

どうせ進むなら、楽しく進みましょう。

  

 

 

※関連記事>>『法話まとめ

≫法話まとめページ

 

※関連記事>>『臨済宗とは?

≫臨済宗の解説ページ

 

※関連記事>>『仏教とは?

≫仏教の解説ページ

 

※関連法話>>『秀吉の話

≫秀吉が太閤になるまでの心構え

 

※関連法話>>『夢の話

≫過去は夢 未来は幻

 

※関連法話>>『落ち葉の話

≫いま一枚拾う

 

※関連法話>>『妄想の話

≫妄想することなかれ

 

※関連法話>>『カエルの話

≫無心に泳ぐ

 


参考文献

迷いが消える禅のひとこと

サンマーク出版 (2018/11/13)

細川晋輔(著)

★おすすめ!